中華民国台湾の検察制度について
- Publication Date:
- Last updated:2021-04-07
- View count:8621

1. 検察機構の設立
中華民国台湾の検察機構は法務省の管轄範囲に属し、司法院の裁判所に対応して置かれている機構です。
検察庁には最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁の3種類があります。中華民国台湾裁判所組織法により、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所に対応して設けられ、県庁所在地に地方検察庁一庁あることを原則としています。
2. 検察機構の組織
最高検察庁は検事総長、高等検察庁は検事長、地方検察庁は検事正、及び部長検事•検事•検察事務官•その他の職員で構成されています。
①最高検察庁
最高検察庁は台北市に一か所あります。
②高等検察庁
高等検察庁は台湾高等検察庁•台中支庁•台南支庁•高雄支庁•花蓮支庁•
福建高等検察庁金門支庁の6か所あります。
③地方検察庁
各県庁所在地に地方検察庁一庁があります。合計21か所あります。
3. 検察機構の役割
検事は刑事事件について、捜査及び起訴•不起訴の処分を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し刑の執行を指揮監督するなどの権限を持っているほか、公益の代表者として民法など、各種の法律により数多くの権限が与えられています。
4. 検事の職務内容
①捜査:刑事訴訟法228条によると、警察などから送致を受けた事件、警察官に直接告訴•告発のあった事件
及び検事が認知した事件について捜査を行い、これを裁判所に起訴するかどうかを決めます。なお、検事
には起訴できる事件でも、被疑者の状況などによって、起訴猶予とする権限があります。
②公訴:犯罪を立証する証拠が十分な場合、検事は被告を起訴します。
③立会い:検事は公判請求した事件の裁判に立会い、裁判所に証拠を請求したり、証 人尋問を行ったりして
被告人が犯罪を行ったことなどを証明し、裁判所に適正な裁判を求めます。検事は証拠調べの終了後、求
刑をふくむ論告を行います。また、裁判所の判決に対して、上訴することもあります。
④自訴協力:被害者自ら裁判所に訴訟を提起する協力を行います。
⑤自訴提起:被害者が自訴を提起したあと、訴訟を続けることができない場合、検事が訴訟代行できます。
⑥裁判執行:懲役刑や罰金刑などの裁判の執行の指揮•監督を行います。
⑦公益代行:公益の代表者として法令に定められた事務を行います。